後編
続いた。とりあえず、｢深夜勤があるんですけど･･･｣とM主任に言うととりあえず代わりの人材が来るまでと言うことで残業。するとすぐにK君が引き受けてくれることになり、マジ感謝。そうこうするうちにどんどん、現場のほうは怪しくなってきた。18分の各駅停車が長後に入線したところで、現場検証を行うため全線に亘って抑止の指令が入る。ぴたりと列車が止まってしまった。これではにっちもさっちも行かない。幸いにして、詰め寄る客はいない。人身事故の話をして納得してもらう。こういうときに思うのは「何分ぐらい抑止してますか?」と言う質問が無意味であることだ。そんなもん、俺は警察でもないんだし現場も見てないんだし、話の仕様がない。過去の実績とか、まったく聞いても無意味なのに聞いてくるのははっきり言って馬鹿じゃないかと思う。
15分ほどで抑止は解除。15〜20分ぐらいの遅れを持って列車は運行を始めた。ほらね、こんなの大らかに待てば列車は動くもんなのよ。なんでそんな心の余裕がもてんのじゃい、おまいら。40分ぐらいにK君がやってきた。マジ神。後は任せたと一旦湘南台に引っ込み食事とニコチンの摂取を済ませる。E主任に「行けるなら早く行って来い」の言葉で深夜勤を30分前倒しする形で大和へ。大和改札に入る。これで社員さんが一人別の場所に行けて都合が良い。15分ほどして、話せない障碍者が。足が不自由なので車椅子を貸せと･･･なんで最初から乗ってこないんですか?正直な話これ以上の面倒はやめてくれと思うのだが仕方がない。このために社員さんが2人取られる。まったく、あまり面倒を掛けさすな、こんな有事に。･･･こんなことを書くとまた誰かが「なんてひどいことを言うの?『障害者』を無碍に扱うなんて人間として屑!」なんて言うかもしれないが、そんなきれいごとは一切受け付けない。そんなこと言ってる相場ではない。この状況下、一人の世話に時間を取られ、大事な情報や任務を等閑にすればどうなる??それでも、やっぱり思いやれよと、そう思う奴は今すぐ街へ出て、少しでも彼らの役に立つことやってやれ!!ギリギリの戦いの中である。こちらは。実際のところ、この姿を見て援けに来た人は一人もいなかった。結局はそういうものなのだ。と言うわけで反論は一切受け付けない*1。
こっちはこっちで遅れ、列車の運行順序のメモで忙しいんじゃ。何分ぐらい遅れてる?と言うのにはすべて「10〜15分程度ですね」と憶測でものを言った。とりあえず、列車は動いている。それ以上、何が必要だと言うのだろう?そんなのは全部إن شاع الله*2じゃないか。なんでそんなことも分からないんだ、痴れ者たちめ。そして、特急出るの?と聞いてきたやつもいた。アフォか!!なんでそんな余裕が出来るんじゃい!!それぐらい慮れ。まったく、列車はサイボーグか何かと勘違いしている奴がいるが、違うぞ!!列車動かしてんのは｢人｣なんやぞ!!!とまあ、そんなこんなではったりをかましながら、掃除をしにホームへ。こういう日に限ってゴミが多い。腹いせをポイ捨てにすんな!!まったく。ホームに出ると、容赦なく質問。あのなあ、こっちもサイボーグとちゃうんやから、なんで今入った情報を通信手段の持たない俺がわかんねん。俺はテレパスなんかでけへんぞ。なのに聞く。ああ、もう全部إن شاع اللهじゃないが。それのみが真実。それが分かってれば、こんなことわざわざ聞く必要もあるまいに。掃除中に各停が待避線に入線した。あとから快急が来るかもしれないとの情報も。ほらきた。「あのー藤沢はどっちが早いですか?」知るかあ!!今それを指令所が決めてんにゃからそれこそإن شاع اللهじゃないか。しかも変ったところで15分程度だろうが。それぐらいがどうして大らかに構えられない!!と客によほど言おうかと思ったら、そうすると俺の首が危ういので、今来た列車の車掌に新情報があるか尋ねてみる。「俺にもわからん。」そうですよねえ。その話をしても客が納得しないのが腹立たしい。ほな、おまえ。列車が衝突したらどう責任とってくれんにゃ。無理やろが、ヴォケが。しかも湘南台も聞かれた。2分しか!!違わんねんぞ。*3
改札に戻ってくると客が少なくなっていた。これはようやくのチャンスと、券売機にたまった使用済み切符を取りに行こうとする。で、外に出て作業を始めると、またかよ･･･遅れは10〜15分の見込みです。すると、居た。有名なDQNなクレーマー、こいつは*4少し度も落ち度があれば、そこを徹底的に叩いてくる。そんなことして愉しいんか?しかも、無駄に怒鳴り、無駄に切れる。今日もそうだ。キレに切れた。「10分でこないとはどういうつもりだ」「責任とれよ」「放送しろ」･･･など。いちいち怒鳴んな!!キモさすら感じるんじゃ!!まるでそれを自らの「アルフォー・クロア」をしているかのように。これほどこちらが腹立たしいことはない。そして、また同時に恐怖を感じることはない。何をやらかすか分からないからだ。無駄に切れればいいと思っている奴は本当に怖い。弱い犬ほど好く吼えると言うが、しかし、よく噛み付くブルドックは臆病なのである。みんなも気をつけよう。こんなDQNには。そして、とうとう切れた、俺も。客からの質問に対して全てإن شاع اللهをつけることにしたのだ。
「10〜15分の遅れですねإن شاع الله｣
「各駅のほうが先着ですねإن شاع الله｣
･･･だってそのほうが自然じゃないですか。みんなإن شاع اللهを知らないから、こんな時に大らかになれないのである。全てはアッラーが決めることである。そんな摂理も知らないとは日本人は矮小と言わざるを得ない。そう、俺は最後のほうは哀れみを持ってさえいた。なんてかわいそうなんだろう、この人たち。こんな「つまらない」ことでカッカするなんて･･･しんどい生活してるなあと。
そう思いながら終了。最終は定時で行ったので、なんとか残業は免れた。･･･このあと、寝て、起きて、中央林間行って、ようやくうちへ帰ったんだが、もうどうでも良くなった。最後に、一言。
「昨日は生田〜向ヶ丘遊園にて人身事故がありました影響によりまして、列車のダイヤが大幅に乱れました。しかし、我々も列車の安全性を確保し、振り替え輸送を依頼し、ダイヤを組みなおし、遅くまで理不尽な客につき合わされ、生活のリズムが大幅に乱れました。よって小田急としてはともかく、私個人としては一切お詫びをするつもりがございません。むしろ被害者です。」･･･言っておきますが、私個人と小田急電鉄は一切関係がないことをここに表明しておきます。小田急電鉄もこれからも末永く、心穏やかにご利用くださいませ。
敬具
